Femtech Fes! オンライン Vol.4「スポーツ×Femtech ~アスリートと生理~」

2020年5月2日、Femtech Fes!オンラインの第4弾として、fermata初のスポーツにフォーカスしたイベントを開催しました。

このイベントでは、世界で活躍される現役&元アスリート、Rebolt Inc.の下山田志帆さんと内山穂南さんをゲストにお招きし、「女性アスリート界」にまつわる様々な課題・悩み・解決法をお伺いしました。

【アスリートならではの生理の悩み】

女性アスリートが抱える生理の悩みは、生理周期によるパフォーマンスの変化のみならず、練習や試合中にナプキンが落ちてしまう(!)など様々。

海外でのプレー経験があるお二人によれば、イタリア、ドイツのチームメイトのほとんどがタンポンを使用しており、(入浴の際など)どの選手が生理でタンポンをしているかわかる状態が普通だった、とのこと。

また、内山さんがイタリアで使用したナプキンは少し質が悪いな、と感じてしまったそう。

生理に対するタブー感や、生理用品の品質の違いを共有しました。

参加者の方から寄せられた「生理痛で試合や練習に集中できない」という悩みには「市販の痛み止めを飲んでいましたが、効果がある時間が限られている、症状が重いと効かないなどの点があるので、生理そのものに対して対処する方が良いのではないかと最近思いはじめているところです!」と下山田さん。

日本ではまだ使用率の低い低用量ピルなど、自分に合った選択肢に安心してアクセスできる環境の整備が望まれます。

【アスリートの身体的な悩み】

生理の悩みにも関連して、アスリートの身体的な問題(疲労骨折、尿もれ、無月経など)についても話し合いました。過度な栄養管理(食事制限)は疲労骨折にも繋がり、厳しいトレーニングで食事を疎かになると、生理が全く来なくなってしまうことも稀ではないようです。

現役中は常に生理不順だったという内山さんには「そのことを悪いことだと思えていなかった」「婦人科に行くことに対しての抵抗感もあった」と自身の経験をお話しいただきました。

生理が来ないと楽だと思ってしまうかもしれませんが、まずはしっかり自分の生理に対して向き合うことが大切だとわかりました。

現役でプレーする下山田さんは、全員で練習するチームスポーツや部活動などでは、"生理痛で抜ける"が言えない空気があるという問題点を指摘しました。

指導者としての経験もある内山さんは、生理に限らず「休む=サボる」という考えの指導者や選手が未だに多いので、「自分の身体をきちんと理解した上で休むという判断をするのであれば、それはベストなことだよ」と伝えるようにしているそうです。

【スポーツ×フェムテック】

イベント後半では、スポーツに役立つフェムテックアイテムの紹介もしました。

「ナプキンは不快感や汗で濡れる問題があるので、生理用ショーツを使ってみたい!」「アメリカが実際に結果を出しているトラッキングアプリは、競技レベルの向上が期待できそう! 」など、参加者も交えて盛り上がりました。

【スポーツ界のジェンダーバイアス】

スポーツ界に #MeToo ムーブメントはまだなく、アメリカの女子サッカーチームが賃金格差に対する訴訟を起こすなど、見えやすいジェンダーバイアスに対してアクションを起こしている段階だという下山田さん。

最後のトピックでは、スポーツ界に残るジェンダーバイアスの事例を取り上げ、その原因やこれからの私達にできることを考えました。

「男子チームに所属していて、女の子なんかに点を決められるなと言われた」「男性アスリートが結果を残した際は努力が原因となり、女性の場合は元から高い身体的特徴を理由とされる傾向がある」など、参加者の方からもたくさんの経験談やデータが届きました。

ジェンダーバイアスにとらわれないためにできることというトークテーマでは、生理のタブー感の例を挙げ、「学校で女子生徒だけが集められて授業をする、といった教育を受けているのに、スポーツ選手だけが堂々と生理の話をできるわけがない」「何故ジェンダーバイアスにとらわれているのかを考える必要がある。スポーツ界だけをみていると難しいことも、社会全体にまで視点を向ければ、問題が起こっている理由がわかるようになる」とお話しいただきました。まずは無意識に染みついているタブー感や偏見を、自分達自身が把握して理解することが必要なのかもしれません。

最後に、スポーツ界で選手が声を上げている事例も幾つか紹介しました。

▼Here's why I ran the London Marathon on the first day of my period – and chose not to wear a tampon
https://www.independent.co.uk/voices/comment/heres-why-i-ran-the-london-marathon-on-the-first-day-of-my-period-and-chose-not-to-wear-a-tampon-10455176.html

▼「試合中にナプキン落とした」「血でユニフォームが真っ赤」女性アスリートが語る“生理の本音”
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/colorful-athletes

下山田さん:自分達がおかれている現状があたりまえではないと気付いている人達が声を上げ始めている印象です。批判的な意見を向けられることもありますが、純粋にスポーツを楽しみたい、自分達のことについてラフに話せる空気を作りたい、という思いで発信しています。

内山さん:今は声を上げることで注目を浴びている状況ですが、少しでも早く今のタブーがあたりまえになり、社会に溶け込めるようになって欲しいと思っています!

今回はスポーツをテーマに話し合いをしてきましたが、アスリートの抱える悩みは、全ての女性が抱えている課題でもあるのだと感じました。社会全体にギャップやバイアスが残っている状態で、アスリートだけがそこから抜け出せることは無い。いろいろな立場の人が協力しながらより良い社会にしていきたいと思った回でした。

fermataでは、今後も様々なテーマでFemtech Fes!の開催を予定しております。
今後のイベント情報はこちらをご覧ください。