Vol.16|PCOSの生理周期は、年齢とともに変わる?16万周期の記録から見えたこと
昔は不規則だった生理が、最近は少し整ってきた。そんな変化は珍しいことなのでしょうか。15,586人、約16万周期の記録から、PCOSと年齢による生理周期の変化をやさしく読み解きます。
読了目安:約6分
「以前より、生理周期が短くなった気がする」「PCOSと診断されているけれど、最近は周期が整ってきた」「毎月同じ日に来ないのは、身体に問題があるから?」
生理周期を記録していると、年齢や生活の変化とともに、以前とは違うリズムに気づくことがあります。
生理周期は、いつも同じ日数で繰り返される時計のようなものではありません。今回紹介する研究からは、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のある人や、若い頃から周期が不規則だった人の周期も、年齢とともに変化していく様子が見えてきました。
15,586人、約16万周期を調べた研究
今回取り上げるのは、Apple Women’s Health Studyに参加した15,586人の、合計160,206周期の記録を分析した研究です。
参加者が記録した月経開始日をもとに、研究チームは次の3つのグループを比較しました。
- 医療者からPCOSと診断されたことがある人
- PCOSの診断はないものの、初経後から周期が不規則だった人
- 若い頃から比較的規則的な周期だった人
PCOSがある人は1,842人で、18,875周期分の記録が含まれていました。ホルモン剤を使用している期間、妊娠中、授乳中の周期は分析から除外され、20歳未満から50歳以上まで、年代ごとの違いが調べられました。
若い年代ほど、周期の長さとばらつきに差があった
若い年代では、PCOSがある人や、初経後から周期が不規則だった人は、若い頃から周期が規則的だった人と比べて、周期が長く、周期ごとの日数のばらつきも大きい傾向が見られました。
周期が長くなりやすい
排卵までに時間がかかったり、毎周期は排卵しなかったりすることで、次の生理までの期間が長くなることがあります。
次回を予測しにくい
周期ごとの日数が変わりやすく、「今月はいつ来る?」という不安につながることがあります。
ただし、周期が不規則だからといって、必ずPCOSであるとは限りません。ストレス、睡眠、体重の変化、運動量、甲状腺の病気、服用している薬など、周期にはさまざまな要因が関係します。
20代、30代と年齢を重ねると、差が小さくなった
この研究で特に興味深いのは、PCOSがある人や、もともと周期が不規則だった人では、20代から30代にかけて周期が短くなり、ばらつきも小さくなる傾向が見られたことです。
若い頃から周期が規則的だった人との差は、年齢とともに次第に小さくなっていました。「昔は2か月来ないこともあったのに、30代になって毎月来るようになった」という変化は、必ずしも珍しいことではないのかもしれません。
一方、40代後半以降になると、どのグループでも周期のばらつきが再び大きくなる傾向が見られました。生理周期は一直線に変化するのではなく、ライフステージに合わせてリズムを変えていくものだと考えられます。
周期が整ったら、PCOSが治ったということ?
周期が以前より規則的になったとしても、それだけで「PCOSが治った」と判断することはできません。
PCOSは、生理周期だけでなく、排卵の状態、男性ホルモンに関連する症状、卵巣の状態などを含めて評価されます。また、妊娠のしやすさや、血糖・脂質など代謝面の健康については、周期が整っているかどうかだけでは分かりません。
「28日周期」でなくても大丈夫?
生理周期について話すとき、「28日」という数字がよく使われます。しかし、すべての人の周期が28日になるわけではなく、同じ人でも毎月まったく同じ日数になるとは限りません。
大切なのは、誰かの平均に合わせることより、自分の普段のリズムを知っておくことです。
- いつもより極端に長い、または短い
- 急にばらつきが大きくなった
- 出血の量や痛みも変わった
- 生理以外の時期にも出血する
こうした変化に気づくには、他の人の「普通」よりも、自分自身の記録が役立ちます。
アプリで分かること、分からないこと
生理管理アプリやスマートフォンのヘルスケア機能は、自分の変化を振り返るための便利なツールです。
開始日だけでなく、次のような情報も一緒に残しておくと、受診時の参考になります。
- 出血が続いた日数と、生理以外の時期の出血
- 出血量や、生理用品の交換回数
- 痛みや体調の変化
- にきびや体毛などの変化
- 睡眠、ストレス、体重の大きな変化
- 妊娠を希望しているかどうか
ただし、アプリが表示する排卵予定日や次回の生理予定日は、入力した記録から計算した予測です。特に周期が不規則な場合、実際の排卵日とずれることがあります。アプリの記録だけで、PCOSや排卵の有無を診断することはできません。
婦人科へ相談してよい変化
次のような変化がある場合は、「まだ様子を見た方がいい」と我慢せず、婦人科などへ相談してみてください。
- 生理が長期間来ていない
- 以前より周期が急に不規則になった
- 出血量が急に増えた、または出血が長引く
- 生理以外の時期にも出血する
- 強い痛みや、日常生活に支障が出る症状がある
- 妊娠を希望しているが、周期が予測しにくい
- PCOSの診断や検査について相談したい
この研究を読むときの注意点
この研究でのPCOS診断は参加者の自己申告で、参加者は米国のApple製品利用者が中心です。また、個人を何十年も追い続けた研究ではなく、異なる年代の記録を比較しています。
そのため、今回の傾向がすべての人や日本の集団にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、大規模な実生活の周期記録から、PCOSのある人の周期も一生同じではない可能性が見えてきたことには大きな意味があります。
まずは、自分のリズムを記録してみる。
次の生理から、開始日と気になった症状を一つだけ記録してみませんか。生理用品の選び方に迷うときは、fermataの無料オンライン相談もご利用いただけます。
※この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。生理周期や症状には個人差があります。気になる変化や生活への支障がある場合は、医療機関へご相談ください。
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