Femtech Fes! オンライン Vol.10「フェムテックと歩む、あたらしい妊娠生活」
つわり、肌荒れ、抜け毛、腰痛…妊娠から出産にいたるおよそ10ヶ月の間に、女性の身体には、様々な変化が起こります。また、ホルモンバランスや身体の変化、出産に対する恐怖など、精神面に影響を与える要因も少なくありません。
Femtech Fes! オンライン! 第10回目となる今回は、「フェムテックと歩む、あたらしい妊娠生活」をテーマに、日本医療政策機構の今村優子さんをお招きし、妊娠期のカラダやココロの変化と悩み、パートナーや医師とのコミュニケーション、それらを支えるFemtech プロダクトまでご紹介しました。
妊娠期のカラダとココロの変化
イベントではまず、妊娠期間の区分ごとにカラダとココロに起こる変化をみていきました。
【妊娠超初期0~3週】
生理予定日になっても生理がこない、微熱が続く、眠い、だるい、乳房が張る、食欲がない、ニオイに敏感になる、早朝や空腹時に胃がむかつく、嗜好が変わる、尿が近くなる、おりものが増える
PMS・風邪の症状と似ているものも多く、この段階では妊娠に気がつかない人も多いのだとか。妊娠検査薬が使えるのは7日~10日以降なのも気をつけておきたいポイントですね。
【妊娠初期2~4ヶ月】
つわり(5週〜11週目)、頻尿、便秘、唾液の量が増える、疲労感
イライラやストレスを感じやすくなる、情緒不安定、理由もなく泣く・泣きたくなる、無気力
ホルモンバランスの変化によって明らかなカラダ、ココロの変化が起こり始める時期です!
同じ人でも一人目のときと二人目のときで症状の程度がちがうなど、かなり差があるようです!
胎盤が完成 = 安定期、お腹が膨らんでくる、貧血になりやすい、乳腺から液体が出てくる、妊娠線、こむらがえり、妊娠性歯肉炎、カラダの変化が落ち着くためココロも安定
外見からもわかるカラダの変化がでてきます。
欧米で「Pregnancy glow」と呼ばれている、妊婦がなぜか肌がキラキラ綺麗になりオーラで輝く時期もこの時期です!
動悸、息切れ、むくみ、基礎代謝が上がる、腰痛、恥骨痛、骨盤が開いてくる、尿もれ、前駆陣痛・陣痛
妊娠初期と似たような精神状態になり、マタニティブルー(常に緊張感がある、不安で眠れなくなる、集中力の低下)が起こり得ます。
日本では妊娠期間は10ヶ月とよく言われていますが、これは月経後胎齢といって、"最終月経の初日を0日目"として1ヶ月=28日でカウントする方法です。9ヶ月(受精後胎齢、受精初日を1日目)とする数え方もあり、国によって一般の認識に差があることもわかりました。
妊娠期の都市伝説「産み分けって本当にできるの?」「マタニティハイってなに?」「運動やセックスをしちゃダメ?」にもお答えいただきました。
妊娠期の不安
妊娠中に感じる不安や悩みは人それぞれ。「赤ちゃんが無事生まれてきてくれるかどうか」「役割や関係の変化」などはもちろん、「パートナーにどうやって悩みを伝えればいいか」「どうやったら当事者意識を持ってもらえるのか」といったコミュニケーションに関する課題も。インターネットで調べても、情報があふれている現代だからこそ、どれが正しいのか、どれが自分に合っているのかわからず、かえって悩みが増えてしまうケースもあることがわかりました。
不安な気持ちをパートナーに話せなかった理由を先輩ママと現役妊婦さんで比較すると、先輩ママさんの回答には「パートナーよりも実母やママ友など、女性の知人に話した方が気がラクだから」が多いのに対し、現役妊婦さんは「1回言ってみて困ったような反応だったのでそれ以来話さなくなった」が上位にきていることがわかりました。現役妊婦さんには、悩みや不安を共有できるコミュニティが少ないのかもしれません。
この「妊娠期のカラダとココロの変化」「妊娠期の不安」から、①自分の身体を理解・コントロールする、②自分の身体の変化を可視化・共有する、という二つのソリューションタイプを軸に、どんなFemtechプロダクトがあるのかをみていきました。ここではイベントで紹介したサービスの一部をご紹介します。
Reliefband
つわり、乗り物酔いや化学療法に伴う吐き気を軽減するスマートバンド。
ニューロモジュレーション( = 微弱な電気刺激)で正中神経の神経活動を変化させることで、 吐き気や気持ち悪い感覚を軽減させる。二日酔いにも効果があるそう。
Bonzun
妊娠期の様々な症状に関する情報プラットフォーム、バーチャル助産師のBonzun。
アプリ上で症状をチェックすると、妊娠周期に照らし合わせて受診の必要があるか確認できる機能も。
Keleya
妊娠周期に合わせて、パーソナルトレーニングプログラムを組んでくれるアプリ。
トレーニングだけでなく食生活のサポートも。
Baby-Scan
世界初の自宅で使える超音波エコー検査機。読み取ったデータをアプリに送信、専用のクラウドにデータを保存し、家族や友達とシェアが可能。
Bloomlife
子宮の筋肉の収縮頻度や強さ、陣痛などをトラッキングするウェアラブルデバイス。
トラッキングしたデータをアプリに送信し、データをパートナーとシェアする機能も搭載。妊娠中期から継続して使用することができる。
気になるFemtech ソリューションはみつかりましたでしょうか?パートナーに当事者意識を持ってもらう方法としては、Baby-ScanやBloomlifeといったシェアできるプロダクトは有効かもしれません。
日本ではまだまだこういった情報、サービス、プロダクトにアクセスできる人は限られているように感じます。今後は、地方自治体からの交付金やサービスが充実するなど、必要なときに必要な人がFemtechを利用できる環境が整備されていくことが望まれます。
fermataとしても、妊娠から出産までのステージを解剖し、最先端のソリューションを紹介、提供することで、悩みや不安を解消する第一のステップをお手伝いできればと思います!