Vol.2 | Clue(クルー)とは?生理管理アプリとFemtechの原点 【Amina's Lense】
Clue(クルー)
“なんとなく”を、未来の自分の選択肢に変える
生理日、出血量、痛み、気分、体調。
日々の小さな変化を記録することは、自分のからだを管理するためではなく、未来の自分に選択肢を残すためのセルフケアです。
1|なんとなく、を置き去りにしてきた私たちへ
生理や体調のことを、私たちはいつから「なんとなく」で片づけるようになったのだろう。
少し重い気がする。
今日は気分が上がらない。
きっと疲れているだけ。
忙しい日々のなかで、小さな変化を後回しにすることを、私たちはいつの間にか覚えてしまった。
2|Clueという、静かな道具
Clue(クルー)は、ドイツ・ベルリンで生まれた月経・体調トラッキングアプリです。
生理日、出血の量、痛み、気分、体調。日々の変化を、とてもシンプルな操作で記録していきます。
ただ、少しだけ自分の体に注意を向けるだけ。それは、自分のリズムをあとから振り返るための、静かな道具です。
3|まだ言葉がなかった頃
このアプリをつくったのは、Ida Tin(イダ・ティン)。
「Femtech」という言葉を世界に広めた人物として知られています。
Clueが生まれた頃、女性の健康は、まだ投資や技術の対象とは見なされていませんでした。
世界を自転車で旅していた彼女は、「自分の生理や体調が分かっていれば、旅や仕事の予定を、もっと立てやすいのに」と感じたそうです。
けれど、投資家から返ってきたのは、
「そんなにニーズがあるの?」
という言葉でした。
Female × Technology —— Femtech。
この言葉が、彼女の考えを世界に伝える“翻訳”になりました。
4|感覚を、記録へ
Clueが変えたのは、機能ではありません。
体との距離です。
- なんとなく違う
- いつもと少し違う気がする
- でも、うまく説明できない
そんな曖昧な感覚に、“記録”という選択肢を加えた。
Clueは医療的な判断をするものではありません。けれど、日々の記録は、必要なときに自分の状態を説明するための材料になります。
5|未来は、ある日突然やってこない
こんな話があります。
Clueは、世界中のユーザーから、主に生理や体調に関するデータを集めています。もちろん、ユーザーの同意のもとで、です。
そのビッグデータを使った研究から、日々の記録のなかに、体調変化や受診につながるサインを見つけられる可能性が見えてきました。
日常の延長線上にある変化を、見逃さずに拾えるようになるということ。
6|予防は、教えられてこなかった
女性の健康には、本来「予防できる」「もっと早く気づける」ことが多い。
それでも多くの人が、症状がはっきりするまで、生活に支障が出るまで、婦人科に行かない。
それは、私たちが無関心だからではありません。
気づく経験も、学ぶ機会も、背中を押す環境も、ほとんど用意されてこなかっただけなのだと思います。
7|データが、私を病院へ連れていった日
私自身、Clueを使ってきた中で、忘れられない経験があります。
産後しばらくして、不正出血が続きました。最初は「そのうち落ち着くだろう」と思っていました。
でも、記録を振り返ると、出血の量も期間も、明らかにいつもと違った。
データとして残っていたからこそ、「これはおかしい」と判断できました。
病院で、アプリを見せながら説明すると、医師はすぐに状況を理解してくれました。
8|未来の自分に、選択肢を残す
日本にも、生理管理アプリはあります。
でも、「記録したその先」をどう使うか。その議論は、まだ十分とは言えないのかもしれません。
Clueは、日常と医療のあいだに立ち、「行ったほうがいいかもしれない」という判断材料を、静かに差し出してくれます。
自分を縛ることでもない。
それは、未来の自分に、選択肢を残すこと。
正解はひとつではありません。
でも、選べるというだけで、私たちは少し、安心できる。
次回もまた、世界の選択肢をひとつ
世界には、まだ日本に十分届いていない選択肢がたくさんあります。
fermataはこれからも、からだを知ること、自分で選ぶこと、必要なときに医療につながることを支えるプロダクトやサービスを、ひとつずつ紹介していきます。
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