Vol.3|妊活の前に、自分を知るという選択。Modern Fertilityが問いかけた“ホルモン検査”の意味
本日ご紹介するModern Fertility公式サイトはこちらからご覧いただけます。
1|「妊活」という言葉に、追い立てられる前に
最近、「妊活」という言葉をよく目にします。
年齢、卵子の数、卵巣年齢、AMH。
検索窓に打ち込めば、情報はあふれるほど出てくる。
でもその多くは、
「急いだほうがいい」
「今すぐ動くべき」
そんな焦りを含んだトーンに感じることがあります。
私は27歳の頃、ロンドンで博士課程を終え、VCファンドで働き始めたばかりでした。
キャリアのことで頭がいっぱいで、妊娠や出産は「いつか」の話。
それでも、心のどこかで感じていたのです。
私は、あとどれくらいの時間があるのだろう?
そのとき出会ったのが、Modern Fertilityという在宅ホルモン検査キットでした。
今日は、妊活や不妊の話ではなく、
「妊活の前に、自分を知る」という選択肢について書きたいと思います。
2|Modern Fertilityとは?|在宅でできるホルモン検査
Modern Fertilityは、米国発のフェムテック企業です。
自宅で指先から少量の血液を採取し、郵送する。
すると、AMHなどのホルモン値がオンライン上で確認できる。
一言で言えば、
「妊娠できるかどうか」を診断するものではなく、
“自分の身体の今”を知るための在宅ホルモン検査です。
対象は、不妊治療中の人だけではありません。
- 将来、妊娠するかまだ決めていない人
- 卵子凍結を検討している人
- キャリアと出産のタイミングを考え始めた人
“今すぐ妊娠したい人のため”だけではないところが、
このサービスの本質だと私は感じました。
3|AMH検査は何のため?— 妊娠前ホルモン検査の新しい視点
AMH検査自体は新しい技術ではありません。
日本のクリニックでも受けられます。
けれど従来は、
- 不妊治療の一環
- ブライダルチェック
- 「妊娠できる身体かどうか」の確認
という文脈で語られることが多かった。
Modern Fertilityが提示したのは、まったく違う問いでした。
「これは、誰のためのデータなのか?」
パートナーのためでも、家族のためでもなく、
“女性自身が、将来の意思決定をするためのデータ”。
この視点が、当時の私には衝撃的でした。
4|何が新しいのか?|3つの転換
1. クリニックの外に出た検査
妊娠や不妊の話題は、病院という空間に強く結びついています。
でもModern Fertilityは、検査を“日常の中”に持ち込みました。
これは利便性だけでなく、心理的ハードルを大きく下げたのです。
2. データを「主体的に読む」設計
結果はオンラインで確認でき、解説コンテンツも充実しています。
数値を渡して終わりではなく、
“理解するプロセス”までデザインされている。
3. 「診断」ではなく「選択肢」の提示
この検査は、未来を決めるものではありません。でも、
“知らないまま想像し続ける不安”を、
“考える材料”に変えることはできる。
この思想こそが革新的でした。
5|Dr. Aminaの視点|なぜ私は強く惹かれたのか
当時、私はこの会社に投資したいと強く思いました。
けれど投資チームの多くは男性で、
「なぜ必要なのか?」という問いが繰り返されました。
その問いは正しい。
でも、女性の身体を持つ当事者の感覚とは、少し距離があった。
私はこう感じていました。
これは“妊娠できるか”の話ではない。
“どう生きたいか”を自分で決めるための話だ。
25歳でキャリアを優先する選択も、
30歳で凍結を考える選択も、
何もしない選択もある。
でもそのどれもが、
「知らない」状態よりは、少しだけ自由かもしれない。
この経験が、fermataを立ち上げる原点の一つになりました。
6|日本で在宅ホルモン検査を考えると?
日本でも最近、ホルモン検査キットは増えています。
けれど、
- 検体管理や医療との連携
- 表現のあり方
- 結果を受け止める相談体制
など、丁寧な設計が必要です。
そして何より、日本ではまだ
「妊娠の話は、少しタブー」
「考えすぎると焦る」
という文化的空気があります。
だからこそ私は、これは“流行るかどうか”の話ではなく、
「考えることを許される社会かどうか」の話だと思っています。
7|未来へ|測ることは、縛られることではない
ホルモン検査やAMHという言葉は、時にプレッシャーと結びつきます。
でも私は、こう捉えています。
測ることは、評価されることではない。
測ることは、“自分の未来を、自分の言葉で考えるための材料”を持つこと。
Modern Fertilityは、妊娠を保証するものではありません。
けれど、
「選択肢がある」と知ることの力を、私はあのとき感じました。
妊活という言葉に追い立てられる前に。
焦る前に。
一度、静かに自分の身体を知るという選択。
それは、未来を急ぐことではなく、
未来を丁寧に考えることなのかもしれません。
次回は、「非採血型ホルモン測定」という新しい潮流について、もう少し掘り下げてみたいと思います。
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