Special.1|月経カップの歴史|なぜ今、世界中で広がっているのか?

2026年2月23日

「月経カップって最近のものですよね?」
実は、そうではありません。

月経カップの歴史は、100年以上前にさかのぼります。
今回は、月経カップの歴史と、なぜ今世界中で広がっているのかを、社会背景とともに解説します。


月経カップの歴史|タンポンと同じ時代に生まれていた

月経カップの原型は19世紀後半のアメリカで特許が出願されています。
そして1930年代には、タンポンとほぼ同時期に現代型の月経カップが登場しました。

つまり、月経カップは「新しい発明」ではありません。

ではなぜ、タンポンは世界中に広まり、月経カップは長く普及しなかったのでしょうか。


なぜタンポンは広まり、月経カップは広がらなかったのか

答えはとてもシンプルです。

使い捨てで、経済的合理性があったから。

20世紀は大量生産・大量消費の時代。
毎月買い替える製品は企業にとっても流通にとっても都合が良く、広告投資も進みました。

一方、月経カップは再利用型。
一度購入すれば長く使えるため、ビジネスモデルとして拡大しにくかったのです。


2000年代、医療用シリコンが転機に

月経カップが本格的に再評価されたのは2000年代初頭。

医療用シリコンの普及により、

  • ●アレルギーリスクの低減
  • ●洗浄のしやすさ
  • ●耐久性の向上

が実現しました。

ここから、月経カップは「現実的な選択肢」として再び市場に戻ります。


2010年代、ヨーロッパで広がった理由

2010年代半ば、ヨーロッパを中心に月経カップが広がり始めます。

背景には、

  • ●環境問題への意識の高まり
  • ●プラスチック廃棄物問題
  • ●NGOによる再利用型生理用品の導入

といった複合的な要因がありました。

物資や水へのアクセスが限られる地域では、繰り返し使える月経カップは現実的な選択肢となります。

そして環境意識の高まりとSNSの拡大が重なり、欧米で急速に普及していきました。


日本ではなぜ広がらなかったのか

日本では2012年前後に医療機器として承認・届出が行われましたが、市場は長く限定的でした。

背景には、

  • ●膣内挿入への心理的ハードル
  • ●情報不足
  • ●ナプキン文化の強さ

があります。

大きな転機のひとつは、吸水ショーツの普及です。

ナプキン一択だった生理ケアが多様化し、「ゴミを出さない選択」が現実味を帯び始めました。

最近では、「しばらく生理用品を買っていない」という声も増えています。


月経カップのメリットとは

月経カップは体内で経血を受け止める構造のため、血液が空気に触れにくく、においが広がりにくい特性があります。

また、自分の経血量や色を確認できるため、体調変化に気づきやすいという側面もあります。

※なお、タンポン同様に月経カップでもトキシックショック症候群(TSS)の報告は非常に稀ですが存在します。使用時間の遵守が重要です。


Dr.Aminaの視点|なぜ今、日本で必要なのか

月経カップの歴史を振り返ると、ひとつのことに気づきます。

技術は、ずっと前からあった。
でも、それを受け入れる社会の空気が整っていなかった。

月経カップは新しい発明ではありません。
それでも長いあいだ広がらなかったのは、
製品の完成度の問題というよりも、文化や心理の問題だったのだと思います。

生理は、できるだけ目立たないようにするもの。
血は隠すもの。
においは消すもの。

そんな前提の中で、
自分の経血を見て、触れて、洗って、また使うという行為は、
これまでの常識とは少し違う方向を向いています。

そしてもうひとつ。

自分の膣に触れること。
膣内に何かを入れること。
それ自体に、漠然とした不安や緊張を感じる人も少なくありません。

学校で教わることもほとんどなく、「どこまでが普通なのか」も知らないまま。

知らないものには、やはり少し距離ができる。

だから月経カップは、
単なる生理用品ではなく、
“自分の体との距離”を問い直す選択だったのだと思います。

でも今、少しずつ変わってきています。

吸水ショーツが広がり、
フェムテックという言葉が知られるようになり、
生理を語ることが以前より自然になってきました。

月経カップは、ただ「環境にやさしい」製品ではありません。

それは、
自分の体を知ること。
毎月のリズムを理解すること。
そして、誰かに決められた方法ではなく、自分で選ぶということ。

使い捨ての時代から、選べる時代へ。
月経カップは、その変化を象徴する選択肢のひとつだと感じています。

 


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